【中小企業経営者が知っておくべきこと:役員借入金の落とし穴】

はじめに

こんにちは、ヒデヨシです!
記事をご覧いただき、ありがとうございます。

中小企業の経営者の皆さま、「役員借入金」についてご存知でしょうか?

銀行からの借入や、増資による調達もありますがその場を凌ぐというような一時的且つ緊急の措置として、役員借入金を活用したことがある経営者さまも多いのではないでしょうか。

その時を凌ぐために活用される役員借入金ですが、返済できるまで会社が安定する状況に中々ならずにそのままにしてあるケースも多く、中小企業さまのM&Aを行おうとすると、かなり多くのケースでこの役員借入金が残っています。

緊急の措置で必要であり、活用も多くされるものですが、不慮の事故や病気での相続に関わる課税や債務免除による法人税、みなし贈与税など注意すべき点がいくつかあるので、解説していきます。

役員借入とはどう行うのか?

役員借入について、ほとんどのケースでは会社の代表などの役員が会社の資金繰りのために一時的な措置として、会社にお金を入れるというケースでしょう。

この行為自体については税務上の問題が生ずることはほとんどなく、法人(会社)に対する貸付と改修を明確にしておけば良いでしょう。

一方で、この貸付に対して債権者である役員個人は利息つける必要がありませんが、利息をつけるとすると、少額であってもこの役員ご自身については確定申告をきちんと行う必要があります。

注意点その1:相続税

貸付を行なった役員が元気なうちは問題ないかもしれませんが、もし仮に不慮の事故や病気で相続が発生した場合、問題となる可能性があります。

相続人の税負担

貸付を行なっていた役員が亡くなった場合、相続人はこの貸付の債権を相続することになります。

そのため、仮に1億円の貸付を役員が生前に行なっていた場合、1億円にかかる相続税を支払う必要があります。

貸付金の回収可能性

上記のように、相続人は相続税を支払う必要がありますが、会社がすぐに貸付金を返済できる場合はまだ良いでしょう。

一方、記事の冒頭でも述べた通り、すぐに返すことが難しい状況である場合、すぐに返済されないケースも多くあります。

その場合、相続人は会社からの返済をすぐに受けれないにもかかわらず相続税は支払わなければならないため、現金が足りない・・というような事態にもなりかねません。

相続税の納税期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の税務署に申告して納税します。)

注意点その2:法人税

役員借入と法人税とがどうやって結びついていくかですが、債務免除をした場合に関係してきます。

M&Aの際など、役員借入が必要だったことを売り手役員の経営責任とみなし、買い手が債務免除を求めるケースもあります。

一方で、単に債務免除を行うと、「債務免除益」となり実質的に会社の収益とみなされます。

その為、赤字会社や黒字でも繰越欠損金などがある場合は問題ない場合もありますが、利益としてそこに法人税がかかる場合があるので、注意しましょう。

M&Aでは、その分を売却価額で調整し借入については事前に会社のキャッシュで精算しておくのが良いでしょう。

また、債務超過の会社で、この債務免除によって負債超過を解消する場合には、債務超過ではなくなった際に株価の評価が行われ、「みなし贈与税」として課税を受ける可能性もありますので、要注意です。

以上のように、相続の際や債務免除での注意点がありますので、返済ができるのであれば、早々に返済を進めた方が良いでしょう。

もしできない場合ですが、例えば一定期間の間の役員報酬を減額することで会社の運営への影響を最小限にしつつ、役員借入の返済を行うことなどが考えられるでしょう。

まとめ

会社の経営を進めていく中で、役員借入を行わなければならないこともあるでしょう。

一方で、会社の財布とご自身の財布は別のものとして、借りたものは返すということをご自身に対してもきっちりやることは、余計な課税などを避けるためにも重要なポイントとなるでしょう。

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