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「簿価」「時価」とは
企業価値評価や廃業の清算価値などの算定において必要となる「簿価」と「時価」ですが、以下のような違いがあります。
「簿価」
簿価とは、「帳簿価額」の略称です。会計書類に記載されている資産や負債の評価額のことを指します。
資産を見ることが多くありますが、不動産などの固定資産は決算期毎に減価償却など適切な会計処理後、取得価額から減価償却累計額を控除した額(=簿価)で資産を評価します。
「時価」
時価とは、英語で「Market Value」ですが、その時点における実際の価格となります。
修正貸借対照表とは
修正貸借対照表とは、その名の通り「貸借対照表(BS)」を時価に修正したものになります。
通常、M&Aでの買収・売却の際などに取引時点での資産や負債の価値を適切に取り扱う為、修正貸借対照表をアドバイザーなどが作成します。
M&Aを行う場合や会社の清算価値を把握したい場合などは活用されるべきものでしょう。
修正貸借対照表の作り方
企業の保有する資産や負債によってもケースバイケースではありますが、一般的な方法は以下のようになります。
① 資産の評価
売上債権
- 回収不能金額または、貸倒見積額を控除する。
- または、過去の回収実績や相手先の経営状態などにより一定割合を減額する。
棚卸資産
- 大幅な値引きが想定されるものや、品質の低下、陳腐化しているものがあれば処分価額で調整。
前払費用
- 契約解除で現金回収が見込めるもの以外は減額。
- 現金回収が見込めるものは予定回収額とする。
貸付金
- 回収可能性に応じて評価する。
未収入金/仮払金/その他流動資産等
- 売上債権に準じて評価する。
- 本来費用処理されるべきものは減算する。
有形固定資産
- 再取得時の想定コストや売買事例などをもとに算定する。
- または、鑑定士などによる評価を時価とする。
その他の償却資産
- 市場価格または再調達コストをもとに算出。
無形固定資産
- 市場価格がある場合、市場価格とする。
- ない場合、専門家による評価や取引事例に準ずる。
- 評価することができない場合、全額減算する。
有価証券
- 市場価格がある場合は市場価格とする。
- 業績不振や財務内容が不明の場合は減算する。
その他の投資
- 敷金については、契約解除時や現状回復にかかる見積費用を控除する。
- 差し入れ保証金は、貸倒見積額を控除した額とする。
- 保険積立金については、その時点において解約した場合の解約返戻金相当額とする。
② 負債の評価
貸倒引当金
- 評価損が計上された場合は、貸倒引当額を取り崩す。
退職給付引当金
- 積立不足額があれば一時に認識し計上する。
その他引当金
- 評価の見直しがなされた場合、関連する引当金を取り崩す。
保証債務等
- 債務者が債務不履行になる可能性がある場合、保証債務の総額から債務者による返済可能額や担保により保全される額等の求償権の回収見積額を控除した額を負債に計上する。
また、清算を考慮した場合には清算所得に法人税がかかることから、法人税を認識すべき場合もあるが、ここについては意見が分かれています。
まとめ
状況によりケースバイケースである場合もありますが、以上のように修正貸借対照表を作成し、時価評価に修正した上で適切な評価を行います。。
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