こんにちは。ヒデヨシです!
ビジネス売買、M&Aで使う企業価値算定のことは改めて書こうと思うのですが、今回はそこに行くまでに必要な前提知識ということで、リスクについてのファイナンス的な考え方について書いていきたいと思います。
ちなみにこちら、M&Aやビジネス売買に限らない、投資的な考え方ですので投資に興味ある方も是非見ていただき、少しでもお役に立てれば幸いです!
リスクの正体とは何か
今回ですが、記事を書くにあたり↓以下の本を参考にさせてもらいました。めちゃめちゃ丁寧に分かりやすく書いてあり、後半にはケーススタディもついているので、ちゃんと勉強したいって方はオススメです!
さて、みなさんはリスクと聞くとどんなイメージを持っていますか? 「危ない…」「怖い…」と回避すべきものと思うことが多いかと思います。
しかし、ファイナンス的な解釈でのリスクとは必ずしもマイナスだけではないのです。
それぞれ、「アップサイドリスク」「ダウンサイドリスク」と言いますが、ご覧の通りアップサイドリスクというプラスのリスクというものもあります。 ちなみに、好景気でも不景気でも収益に不確実性のないもの、つまりリスクが全くないものは「リスクフリー」というような言い方をします。
では一体リスクとはなんなのでしょうか?
ファイナンス(投資)的なリスクとは、つまるところ「不確実性の幅」です。
リスクの計算方法について
リスクは「不確実性の幅」ということを前の段落で書きましたが、このリスクはどのように計算できるのか見ていきたいと思います。
今回、投資1と投資2があるとしてどちらも月平均リターンは1%と仮定します。
そして、毎月のリターンの実績と12ヶ月平均との差を以下の表に表します。
投資1 | 投資2 | |||
---|---|---|---|---|
実績 | 平均差 | 実績 | 平均差 | |
1月 | 1% | 0 | 2% | 1% |
2月 | 1% | 0 | -3% | -4% |
3月 | 1% | 0 | 4% | 3% |
4月 | 1% | 0 | 3% | 2% |
5月 | 1% | 0 | 6% | 5% |
6月 | 1% | 0 | -5% | -6% |
7月 | 1% | 0 | -3% | -4% |
8月 | 1% | 0 | 2% | 1% |
9月 | 1% | 0 | 4% | 3% |
10月 | 1% | 0 | 1% | 0% |
11月 | 1% | 0 | -1% | -2% |
12月 | 1% | 0 | 2% | % |
平均 | 1% | – | 1% | – |
見た感じ、面白みにはかけるかもしれませんが投資1の方が心も落ち着いて良いですよね。(ボラティリティの高い投資は心が休まりませんねホント。)
ここから、リスクの計算をしていきますが「不確実性の幅」という名の通り、「分散」及び「標準偏差」の計算をします。この辺は、統計的な要素ですね。
なお、「分散」とは、平均差の2乗を平均したもの。「標準偏差」とは、「分散」の平方根をとったものになります。
ちなみに投資の中でのリスクの指標としては、「標準偏差」の方が使われることが多いです。
分散の求め方
分散については先述の通り、平均差の2乗を平均したものですので、先ほどの投資1と投資2の例を元にすると以下のような形になります。
投資1 | 投資2 | |||
---|---|---|---|---|
実績 | 平均差2乗 | 実績 | 平均差2乗 | |
1月 | 0 | 0 | 1% | 0.0001 |
2月 | 0 | 0 | -4% | 0.0016 |
3月 | 0 | 0 | 3% | 0.0009 |
4月 | 0 | 0 | 2% | 0.0004 |
5月 | 0 | 0 | 5% | 0.0025 |
6月 | 0 | 0 | -6% | 0.0036 |
7月 | 0 | 0 | -4% | 0.0016 |
8月 | 0 | 0 | 1% | 0.0001 |
9月 | 0 | 0 | 3% | 0.0009 |
10月 | 0 | 0 | 0% | 0.0000 |
11月 | 0 | 0 | -2% | 0.0004 |
12月 | 0 | 0 | 1% | 0.0001 |
平均 | – | 0 | 0% | 0.00110909 |
投資2の分散を求めるときには、平均差の2乗を全て足し合わせたものを(12ヶ月-1)の11で割ります。
なぜデータの数から1引いた11なのかというのは、統計的なところなのでここではざっくりとのみ書きますが、こういった分散を「不偏分散」といいます。推定したい集団の平均を求めるときは、サンプルの数から-1することになっています。それについては、こちらのサイトが結構わかりやすいかもです。
表から分散は「0.00110909」ってのが分かりましたね。投資1は当たり前ですが分散が0なので、投資1よりも投資2の方が分散が大きく、詰まるところ「不確実性の幅」が大きいということになり、即ちリスクが大きいということになります。
標準偏差の求め方
「標準偏差」についても先述の通りですが、「分散」の平方根をとったものなので、「約0.033=3.3%」といいうことになります。
標準偏差は何かというと、±標準偏差(σ)の中に大体の数値があるという意味合いで活用されます。
範囲 | 範囲内に指定の数値が現れる確率 |
---|---|
平均値±σ | 68.3% |
平均値±2σ | 95.4% |
平均値±3σ | 99.7% |
先ほどの例で言えば、±3.3%の所に実績値がある確率が68.3%、±6.6%であれば95.4%、同様に±9.9%で99.7%となります。
ほとんどは、±6.6%の範囲内にあることが分かります。
あとがき
読んでいただきありがとうございます。
ちょっとマニアックになりつつありましたが、いかがでしたでしょうか?
トレーダーの中にもこういったリスクを算出し、分析かけながら取引を行う人もいますが、人気のトレーディングの指標で言えば「ボリンジャーバンド」も標準偏差を活用しているものになりますね。
例えば、2σの範囲内で価格の収束する確率が95.4%ということから投資の判断を行ったりするのに活用するものですね。
不確実なものをいかにして確実に近づけるかというのも投資の大きな醍醐味だと思います。また、事業も同じように、不確実なものをいかにして確実に近づけるためのアクションをしていくかって感じでしょうか。
よく言われますが、五分五分より確率が悪いのはただのギャンブルですもんね。
それでは、今回はこの辺で。もし弊社にご興味あれば、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
それでは本日も、「やりたい、なりたい」を実現していきましょう!